FM検波のはなし
FM検波とは
いわゆるFM(周波数変調)信号を検波する方式です。変調信号によって周波数が変化しますので、変調が浅い信号の場合はAM検波でも中心周波数をずらすと周波数が離れると信号が減衰することを利用した、スロープ検波と呼ばれる方式で受信できました。しかしながら、音楽用のFM放送など高い周波数までフラットに検波したい需要が増えて、様々な検波方式が開発されました。今回は古くからある「レシオ検波」を例にあげます。
ハード的には
上図は往年の名器 TRIO R-599のFM検波回路です。
出力段のトランスは特殊な巻き線をしており、2つのトランスが結合した形になっています。ダイオードの向きが逆に接続され、周波数ピークが異なる2つの出力 e1,e3を正負に加えて周波数検波を行っています。R-599の IF増幅回路はリニア増幅なので、リミッター効果がなく振幅の変化が起きます。しかしながらこのレシオ検波回路は振幅が変化しても、両方のダイオードにかかる電圧が同時に増えるので、出力は変化しません。この回路はリミッター機能を持った簡単で優れた回路です。
ソフト的には
このほかに現在はクワドラチャ回路やPLL検波、パルスカウント検波などが使われています。FMチューナーの発達した後期にはパルスカウント方式など多くのセットで使われましたが、現在はほとんどIC化されてしまっているのではないでしょうか?私が過去開発したアナログ衛星受信器はビデオ検波にECLを使ったパルスカウント方式を使っていました。特にビデオ信号は直線性が重要視されたため、コイルを使った検波では温度による変化が大きかったり、広い帯域が取れなかったのでパルスカウント方式では大変評価されたものでした。
*FM検波回路の詳細は以下の本で...スロープ検波からクワドラチャ検波、PLL検波や上記のデジタルパルス検波など多彩な紹介記事があります。
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