CMOS入力保護のはなし
CMOS入力保護とは
CMOSと呼ばれているデバイスはMOS-FETといってゲートが絶縁されているトランジスタを使っています。ゲートに電流が流れないことからインピーダンスが高く普段は気にならない静電気や誘導交流電圧(電灯線などから人体やケーブルに誘導される電気)でも電圧がドロップせずにゲートに届いてしまいます。そしてゲートの絶縁膜の限界電圧を超えると絶縁が破壊され、ショートしたり動作不良になったりします。このようなトラブルが起きないようにCMOS製品の入力保護がおこなわれています。
ハード的には
図はCMOSゲートイCの入力部分ですが、電源とGNDにダイオードが入り、抵抗をシリーズにつなげてまた電源にダイオードが入っています。入力に電源電圧以上の電圧がくると電源にバイパスさせ、負の電圧にはGNDに流して保護します。本来CMOS-ICの入力は高インピーダンスなので電流が流れないと思って、例えばOPAMPの出力を直接CMOSの入力につなげた場合、普段は問題ないが、たまたまデジタル側の+5Vが切れてCMOSの電源が0VになったときにOPAMPの出力がCMOSICの保護ダイオードを通ってデジタル電源に流れ込み過電流でOPAMPが壊れたなんてことがあります。CMOS-ICが電源OFFの場合、入力はショート状態と思って間違いないでしょう。このことは電源立ち上げの過渡時期など特に検討する必要があります。
同じように、CMOS-OPAMPなども図のように保護回路が入っていますので、OP-AMPだからといって入力保護ダイオードがあるかどうかはチェックしておくことが必要です。
その他にも高い電圧をON/OFFするパワーMOSFETでは負荷の逆起電力などがゲート・ドレイン容量によってゲートに高電圧がかかるのを保護するために、定電圧ダイオードなどでゲートを保護しています。これもCMOSのゲートインピーダンスが高いため、ゲート・ドレイン間の些細な容量でも電圧が伝わり、破壊されてしまうことがある対策です。
ソフト的には
昔はCMOSと言われると「常に導電性スポンジに刺して運ぶ」「絶対手で電極を持たない」「半田ごてのアースをとる」「導電マットの上作業」など注意して、CMOS部品の不良率を下げたものでしたが、最近では保護回路のおかげて故障率が問題にならないくらい少なくなりました。自作パソコンのCPUやメモリをソケットにさす際など静電気による注意が必要なことから「風呂に入って体を洗った直後、パンツ一丁で作業すること」なんて迷信も静電気対策から出た話でしょうか?
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