バリコンのはなし
バリコンとは
[Variable Condenser ]の略で、可変コンデンサーのことである。
ハード的には
通常バリコンというと写真のように空気を絶縁体(誘電体)とした数枚の固定電極と回転軸と繋がった半円形の可動電極の重なりを利用したコンデンサー構造のものをさすが、ポケットラジオなどに使われたボリエチレンを絶縁体にした小型のバリコンは「ポリバリコン」と呼ばれ、安価なことから広く使われた。
しかしながら、空気を使ったバリコンは損失が少なく同調回路のQ(共振する度合い)が高いので、高級FMチューナーなどに使われ、高周波段に複数の同調回路を設けた「高選択度・高感度」のシンボルでした。私もいつか高感度チュナーを作ろうと秋葉原で買い込んではや30年...写真のバリコンはそんな昔のものです。 現在は損失の少ないバリキャップダイオードが広まっていますし、バリコンはかなり高価な部品であることから、ほとんど使われていませんね。
昔アマチュア無線の受信機を作っていた頃、バリコンの回転角と周波数がなかなか一致しないで困っていました。それはバリコンは容量直線で回転角と電極の重なりが比例しますが、周波数f は f =1/(2π√LC) なので、正比例しません。そこでバリコンの回転角と同調周波数が比例するようなバリコンの羽が尖った半円のような形をした「周波数直線型バリコン」に出あったのでした。当時中学生だった私は必死にお金をためて買って、バーニヤダイアルという回転減速ギアを付けて周波数を目盛りと合うように調整したものでした。
ソフト的には
機械的なバリコンは現在のような周波数プリセットも出来ないし、周波数の温度に対する安定性も不安でした。しかしながらつまみをすこしずつ回して電波をとらえるアナログ的な感触は、いまのステップ式の周波数同調にはない、わくわくした感じは忘れられませんね。
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