IGBTについて考える
IGBTとは
[Insulated Gate Bipolar Transistor]でバイポーラのトランジスタの駆動にMOS-FETを付けたようなパワー素子です。
ハード的には
トランジスタのベース電流を流すためにFETをつけて電圧駆動で動作できるようにしたもので、コレクタ・エミッタとゲートで構成されている。特にMOS-FETが高耐圧のものを作ろうとするとどうしてもON抵抗が大きくなり、大電流を流した時の電圧降下が大きくなってしまう問題があった。左図の表は TO-220 パッケージのMOS-FETとIGBTを比べたものだが、比較的ON抵抗の小さなものでも 0.5Ω程度あるので、電流を10A程度流すと5Vとなり、トランジスタのVceの 2.0Vよりも大きくなってしまう。ベース駆動するのに電流を多く必要とするバイポーラトランジスタはドライブに電力が必要なので扱いにくく、これらの欠点を補う意味で IGBTが開発された。 しかしながら、トランジスタは電子と正孔を使うデバイスなのでスイッチング速度が遅く、もっぱら低速のインバーターなどに用いられ、高速スイッチングにはMOS-FETが現在も使われている。構成としては単独よりもむしろ複数のデバイスを1つのパッケージにした使いやすい製品も多い。モジュールによっては 1400A程度まで使えるものもある。
ソフト的には
表の中央のTK20A60UはMOS-FETのスーパージャンクション型と呼ばれ、微細加工技術の進化で生産され始めました。ON抵抗が少なく、ゲート容量が少なく、高速スイッチングが可能です。GaN-HEMTやSiCなどの素子の開発より先に 高電圧化してくる電源環境へ、現状のMOS-FETの代替として有用でしょう。
これらパワーデバイスについてはトランジスタ技術 2010年 09月号に詳しく解説されています。
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