Sample Holdのはなし
SampleHoldとは
信号のある時期をサンプリングしてその電圧をホールド(保持)する機能のこと。代表的なICにナショナルセミコンダクターのLF398などがあげられます。
ハード的には
右図のように内部にスイッチを持った2つのOPアンプで構成され、Chで示されるホールドコンデンサーに電圧をチャージします。Logic INPUTにHighが入っている期間のみ信号がスルーで伝達し、その間コンデンサにチャージ・ディスチャージされます。正確にはサンプリング期間の積分値(コンデンサが小さければ、ほぼサンプリング終了した時の値)となりますので、最大レベルが保存される、ピークホールド回路とは異なります。FET入力のOPアンプを使用していますので、1uF程度のChで 5mV/分の性能がありますので、パルス出力の波高電圧を検出するなど様々な分野に応用されます。Chは大きくすると保持時間を長く取れますが、逆にチャージするための時間もかかるようになりますので、サンプル期間や周期との兼ね合いで最適値を決定する必要があります。またサンプルした電圧をリセットしたい場合は外部でトランジスタなどを追加してこのCh をショートして電圧を 0V にするか、入力電圧がない時にサンプルしなおす必要があります。
また、このICを使用する上で注意しなければならない点を上げますと、サンプル開始/終了時のトランジェント動作があります。図はデーターシートに記載されているグラフですが、サンプル開始から約0.5uSはヒゲのように短いパルスが出力されこの間は入力がなくても出力されてしまいます。レベルホールドが主体な用途でしたら0.5uS程度サンプル開始を早めればよいので問題は少ないかと思われますが、同期信号をもらえず早めのサンプリングパルスを生成できない場合はパルス幅によって測定誤差が生じる可能性があります。
ソフト的には
「サンプルホールドの性能がよいのに、パルス幅が狭くなるとホールド値がずれる」なんてことがありました。調べてみると前段のOPアンプに4558タイプの普通のオペアンプを使っていました。スルーレートが低いため、信号自体の立ち上がりがナマって短いサンプリングでは電圧が上がり切れてなかったようです。全体の動作スピードの確認やレベルにも注意しましょう。
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