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2010年7月 1日 (木)

RFATTのはなし

RF ATTとは
高周波信号レベルを調整するアッテネーター(減衰器)です。個別素子を使った回路から簡単に使えるICなど各社から発売されています。
ハード的には
Pinatt
1) PINダイオードを使ったもっとも簡単なATT回路です。PINダイオードは電流を流すにつれてRF抵抗値が減少します。直列抵抗で電流を制限し、インダクターでRF信号との干渉を防いでいます。大きな減衰量は期待できませんが比較的簡単な回路で実現します。ダイオードの特性上温度変化に敏感ですので温度に対しての補償が必要です。
Hyb_att
2)比較的狭帯域で使用する場合には、90°ハイブリッドとPINダイオードを使ってATTを構成できます。回路は90°ハイブリッドの入力端子を入力に、ISO端子を出力とし、0°と90°出力端子にPINダイオードで接地します。出力のPINダイオードのインピーダンスが50Ωになるコントロール電圧の時に減衰量は最大になります。これは入力信号が反射しないので ISO 端子に戻らないためです。それ以外の電圧では反射が生じてISO端子に信号が出てきます。このとき電圧が少ない部分はバイアスが少ないため、入力信号が大きくなった時にダイオードの電流が変化して歪む恐れがあります。
Hmc346
3)GaAsFETを使った ATTICは Hittite社 などが有名ですが、DC-8GHzの範囲で 30dB以上の可変幅があり、応答速度も高速です。しかしながらマイナスの電源やコントロール電圧が必要なので、回路構成に注意が必要です。せっかく高速なATT ICですが、電圧変換のOPAMPに低速なICを使ってしまうと性能が出なくなるので選定には注意が必要です。
 最近は単電源でコントロールできるICも増えてきましたので、最新情報をチェックしましょう。
ソフト的には
これらのアッテネーターはコントロールする電圧と減衰量がリニアでないのが普通です。D/Aコンバーターなどでコントロールする場合最小コントロールステップを良く検討してBit数を選定しないと、必要な領域で分解能が出せないなんてことが起きます。最低でも 10BitぐらいのD/Aでコントロールすると安心ですね。

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