端面スルーホールのはなし
端面スルーホールとは
高周波プリント基板でGNDインピーダンスを下げるために、デバイス取り付け穴などの端面にメッキをかけて両面パターンの表裏を接続する加工のことです。
ハード的には
上図のようにデバイスの取付け穴の周囲にメッキをかけることですが、注意点としてデバイスの端子がハンダ付けされる部分はメッキをかけないことです。これはこの端までメッキがかかると半田付けでGNDとショートしてしまうからです。デバイス半田付けパターンは通常基板の端から0.2mm〜0.4mm程度パターンを離します。
これは部品面のパターンと裏面のパターンに注意が必要です。手順としてはルーター加工でまず外形の一部に穴をあけ、その穴にスルーホールメッキをします。このときに穴の表裏のパターンは必ず銅箔があることが必要です。ないとメッキができませんので、デバイスのつく部分は端子のハンダ付けされる箇所以外は銅箔で埋められます。(一番上の部品面・裏面参照)
1回目のルーター加工はメッキしたい部分のみの加工になります。端子がない場合はここでは四角い穴加工でOKです。次にメッキ加工してその後メッキが必要ない部分のルーター加工を行います。このときもルータの刃が銅箔にあたりますと端面がギザギザになって不良になりますので、裏面のパターンも端面から0.2mm〜0.4mm程度離れるようにパターンを避けます。(裏面図を参照ください)
これでデバイスの穴の端面スルーホールが完成しました。
ソフト的には
端面スルーホールはNC加工データー・ルーター加工が1回増えるなどで基板のコストは上がりますが、GNDインピーダンスを下げるには効果的で、特に数GHz以上のアンプには必須と考えます。小さなGNDスルーホールを多く打つことでかなり似た効果は得られますが、ビアはどうしてもインダクタンスを持ってしまうこと、スペースをとること、あまり基板の端にはビアが作れないことなどの制限がありますから小型製品やマイクロ波製品では端面スルーホールが有効でしょう。
もちろん基板単体でのGND強化は限界がありますので、シャーシへのビス止めをしっかり行います。デバイスのまわりは基板が浮きやすいので、多めに止めるのが安全ですね。
| 固定リンク
「ノウハウ」カテゴリの記事
- チャタリングのはなし(2014.03.30)
- OPアンプは理想アンプ?(2014.03.14)
- ビアの抵抗(2013.10.15)
- 半田ごての絶縁について(2013.10.10)
- 強制空冷のはなし(2013.07.01)
コメント