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2010年7月30日 (金)

電流検出のはなし

電流検出とは
比較的大きな電流(数A)を検出して、電流値を測定する機会は結構あります。ショート保護や、過電流保護程度でしたらトランジスタを使った保護回路がありますが、主にCPUで電流値を正確に読み、制御したい場合などA/Dコンバーターと共に検出用ICが用いられます。
ハード的には
Cu_sense比較的高い電圧50V程度を検出できるICに MAXIMのMAX4080シリーズがあげられます。 右図に参考回路を書きますが、電源供給側( PS )と負荷(Load)との間に検出用の抵抗を接続し、その間の電圧を増幅して GND-Out 間に出力します。電流の増幅率とパッケージで品番が変わります。
SOパッケージでは
 MAX4080FASA+ .... 5倍
 MAX4080TASA+ .... 20倍
 MAX4080SASA+ .... 60倍
uMAXパッケージでは
 MAX4080FAUA+ .... 5倍
 MAX4080TAUA+ .... 20倍
 MAX4080SAUA+ .... 60倍

 例えば最大出力電流 10A時に5Vを出力したい場合は、SOパッケージで 60倍の MAX4080SA+を使った場合、 5V÷ 60 = 0.083V 10A流れた時にこの電圧なので、E = I x R より R = E ÷ I よって 0.083 ÷ 10 = 0.0083
 必要な抵抗は 8.3mΩとなります。数値が半端なので 5mΩ を使った場合は 10A時に 0.005 x 10 x 60 = 3.0V の出力となります。ここで注意が必要なのが抵抗の定格電力で、0.005Ω x 10A = 0.05V 0.05V x 10A = 0.5W となり、1W程度の抵抗が必要ですね。
 電源にノイズがあったり負荷が高速に変動している場合には電圧出力にフィルターを入れます。フィルタの時定数は検出時間間隔との兼ね合いで、大きくした方がノイズ除去に有利ですが「瞬間過電流保護」など瞬時に検出して保護したい場合などはフィルタ時定数は短くしておいて、CPUのソフトで平均化処理などを行うべきでしょう。 また、使用電圧ですが、このICは測定電源電圧は 76V まで可能で、ICを動作させるVccもこの電圧まで使用可能です。簡単な回路では R+ ピンと Vccを接続して使うことが出来ますが、瞬間でも電流が流れますと上限無しで Outピンにその電圧が出てしまいます。回路的にはそのままCPUのアナログ入力ピンや A/DコンバーターIC入力に接続された場合、過大電圧入力で壊れる恐れがあります。ダイオードでVddにクリップするかツェナーダイオードを使うなどして保護する場合が必要です。 5V電源が別途 Vccに使用できる場合はこのような対策は不要です。 また、電流が逆に流れると出力電流もマイナスに出力されますので、この検討も必要ですね。 マイナス電流も測定したい場合はリファレンス電圧が設定できる 4081シリーズが便利です。
ソフト的には
今回は比較的電源電圧の高い大電流の場合の応用でしたが、CPUと同じ程度の電圧で小電流でしたら、抵抗とオペアンプで利用できます。しかしながら精度的・部品点数的にはICの方が有利になってきていますね。同様な製品にLinear社のLTC6102などもあります。

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