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2010年7月 5日 (月)

Phase Shifterのはなし

Phase Shifter とは
位相調整器と呼ばれ、IQ変復調でのベースバンド信号の位相を調整してキャリアサプレッションを調整したり、複数のアンプを合成する時に位相を合わせる働きなどをします。
ハード的には
あまり広帯域でない場合は、90°ハイブリットとバリキャップダイオードを使ったPhaseShifterが良く用いられます。Ph_shifter90°ハイブリッドの入力からの信号を加え、0°/90°の出力端子にバリキャップダイオードを入れ、Cによってすこし位相が遅れた信号を反射させます。ISO端子には反射した信号が合成されますので、この信号を出力として使用します。 ここで重要な点はCの容量によって位相だけが変われば理想的なのですが、Cが多くなるとインピーダンスが下がり50Ωに近づくに従って反射信号が少なくなります。よって電圧が低いあたりは位相の変化が大きく使いやすいですが、出力レベルも変化しやすいので、注意が必要です。使用する前に電圧と位相・出力レベルを確認しておくことが必要です。
Pe8200_dp
さらに高周波で使用したい場合は半固定でよければ PhaseTrimmer などというSMAコネクタアダプタの形をしたものもあります。18GHz程度まで使用でき、ロスも少ないことから、パワーアンプの位相調整などに使用されます。
Ph_trimmerjSMA型のオスコネクタでフェーズトリマの機能を持ったものもあり、コネクタなので比較的安価です。
ソフト的には
電圧が高いあたりはバリキャップの容量変化特性からも位相変化が少なく、APDの位相合わせの用途など、あとちょっと変化量がほしい時に足りない時もあります。低い電圧付近はあまり使用しないので、マイコンのD/Aポートに3V位のツェナーダイオードをつけてシリーズに数KΩで10Vくらいにプルアップすれば、 0 -5 V の変化が 3 - 8V 程度までかさ上げできます。オペアンプを使うのが正統派ですが場所がなかったり、ちょっとした実験での確認ならばOKでしょう。


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