P-P と RMSのはなし
P-Pと RMSとは
[Peak to Peak ]ピークからピークの値と[Root Mean Square]実効値の関係を書きます。
ハード的には
右図にあるように高周波のP-P値は正弦波の波形で正の最も高いところと、負の最も低いところの間の最大値を示しています。
DCアンプなどでは電源電圧がこの P-P以上なければ波形がクリッピングしてしまいますし、飽和領域に近くなるにつれてピークが伸びなくなりますので、このピーク値を考慮することは大変重要です。
RMS値は正弦波の半サイクルの面積を四角形に直した時の高さです。 Vrms = ( Vpp÷2)÷√2 で計算されます。この値がいわゆる実効値で電力を換算する時に用いる値です。
それでは一例にインピーダンス50Ωの標準伝送ラインに 5V P-P のときの電力を求めてみます。
Vrms = ( 5÷2)÷ √2 = 1.77V
50Ωですから電力Pは
P = E x I = E x E/R = 1.77 x 1.77 ÷ 50 = 0.0625W
約 63mWとなります。
高周波電力でよく使われる dBmに変換すると、 50Ω負荷で 1mW 時が 0dBmなので 63mWでは 63倍となります。よって計算式は
P(dBm) =10 x Log( 63) =10 x 1.799 = 18 dBm
約 18dBmと計算できます。
ソフト的には
この例からちょっと考えてみても 5V電源のRFスイッチで中間値でバイアスしている時は5Vp-p以上の信号はクリップされるので、電力的に考えて +18dBm以上の信号は通せないことになります。(バイアスがGNDレベルで伝送した場合は正のサイクルが5Vなので 10Vp-p となり、+24dBm程度となります) 実際にRFスイッチなどは P1dB,P0.1dB など1dBや 0.1dB飽和するレベルを規格でうたっていますので、データーシートをよく確認してください。
| 固定リンク
「アナログ」カテゴリの記事
- MIDAS Venice Mixerの修理(電源編)(2024.12.05)
- MIDAS Venice Mixerの修理(2024.12.04)
- 真空管のはなし(2024.05.21)
- パワーアンプ RAMSA WP-1200A の修理(2023.08.06)
- BOSE Power AMP 1701 の修理の話(2023.07.15)
コメント
計算を間違ってませんか?
P-P=5Vでしたら
Vrms=1.7678V
P=0.0625W=62.5mW
P(dBm)=17.9588dBm
だと思いますが
投稿: 通りすがり | 2016年5月11日 (水) 10時48分
ご指摘ありがとうございました。
修正しました。
RMS 計算を(Vp-p÷2)÷√2
であるのに、√(Vp-p÷2) だけになっていました。
サイン波のピーク値が√2倍なので、RMSは√2で割らないとダメですね。
投稿: SUDOTECK | 2016年5月11日 (水) 14時08分
オシロスコープで減衰していく交流波形を波形観測するとVrmsが出るのですが、その値は、SEC/DIVのレンジを変えると変わります。これはどう考えればいいのでしょうか?
投稿: | 2022年7月15日 (金) 13時45分
しばらく見落としていてすみません。
RMSはオシロの仕様にも関係するので、波形の画面上の切り出しや、減衰していく場所によっても変わるかと思います。たぶん表示されるのは、画面に見えている部分の RMS ではないかと思います。
本当に正確な RMS を検出するのは結構大変で、正弦波がすこし歪むと計算上ではずれますし、結局は熱に換算した時の実効値がいちばん正確だったりします。
投稿: SUDOTECK | 2023年1月 1日 (日) 15時20分