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2010年6月 4日 (金)

「分からない」を知る

「分からない」を知るとは
まったく初めてな仕事、やったことのない開発をやらなければならない時どうしますか? 誰かに聞くにしても、何をどう聞いたらよいのか想像もつかない...なんてことに出会った場合、どうしますか?
ハード的には
まずその内容が、世の中にすでにあるもの・あるいはその改良版など、理論的に実現可能かどうかを確認しましょう。「タイムマシンを作れ!」なんて無理はすぐ分かりますね。分からない時はまずネットで調べるか、分かりそうな友人・学者・メーカーに聞いてみる。全く可能性のないような場合は、「自分がその研究者になるんだ」などの決意をもってやる以外では、きっぱりあきらめましょう。
しかしながら、立場的にやらなければならない or 出来る可能性を信じて....チャレンジ精神で「やってみよう」と、とにかく開発を決意したなら、次の内容をチェックしてみましょう。
1)仕事の内容によっても違いますが、現在自分の出来る部分はあるのかないのか。
2)自分の出来そうな分野以外は何が必要なのかを明らかにする。Know
3)会社のチームで各分野を任せられる体制があるならば、それらを任せます。
4)いよいよ自分の担当分野で、やらなければならないことがはっきりしてきたならば、それらをさらに検討します。
 たとえば、あなたの担当分野が「高出力のiPod用のFMワイヤレスアダプタを作れ」だとしましょう。FMワイヤレスだったらできそうですね。ここで、あなたが「何が分からないのか」をはっきりする必要が出てきます。開発とはやはり何か未知な事を試作・実験を通じて実現してゆく事ですから、何も分からないことが無ければすぐに作れるでしょう。逆に「何からやったらいいのか、何から手を付けたらいいのか分からない」ことが一番不安で、問題なのです。
 上記の例では、
1) FMワイヤレスICがあることが判るし回路図もあるだろう
2)iPodとの接続はしたことないからわからない
3)高出力ってどれだけ出ていいかわからない
4)試作するにはどうしたら
など漠然とでも良いので自分の判っていること、判らないことを出してみましょう。
「FMワイヤレスのICがあることは判っているし、製作記事も見たことがある。それならば最新のFMワイヤレス用のICを探してみよう。」と動ける分野と、「iPodと接続なんてどうしたらいいのか何も判らない」となれば、とにかく「iPodのコネクタの接続仕様が入手できるか、既存のアダプタを買ってきて分解してみようか?」 高出力ってどれくらいかなと、日本国内での電波法を調べる必要がある。「その出力を出すにはどのトランジスタが必要か?」「試作するには基板作成はCADで出来るから、基板が出来た後、調整するにはどのような測定器が新たに必要か?」など既存の手法の動きを始めることが出来るでしょう。
ソフト的には
開発・技術関連の仕事は「分からないこと」があたりまえです。「分からない」ことよりも、「何が分かっていないかが分からない」ことが一歩を踏み出せない原因です。まずは落ち着いて、自分が分からない・弱いことは何なのかをチェックしてみましょう。


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