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2010年6月

2010年6月30日 (水)

PhotoMOSリレーのはなし

PhotoMOSリレーとは
チップ上にLEDと太陽電池・MOS-FETを集積した小型のパッケージになっており、オンボードの機械式リレーを置き換える製品です。Panasonic社オムロン東芝などで製品化されています。
ハード的には
Photomosaqy入力はLEDなので、DC+2V以上の電圧が必要です。5V電源では470Ω以下の直列抵抗で5mA程度でONします。出力端子はMOS-FETが直列になった構成で、直流・交流ともON/OFFすることが出来、入力と完全に絶縁されています。動作速度も1mS程度と高速なので機械式では応答速度が問題な分野でも利用できます。
Pm_lineup
 多くは1A程度で1回路から4回路程度までラインアップされ、使用できる出力電圧も100V以上のものもあります。従来オープンコレクタ出力などで外部に出力されていた部分をPhotoMOSリレーに置き換えると、出力ON抵抗が0.5Ω程度と低いので引き回しを長くできたり、ノイズマージンを稼ぐことができます。またオンボード上ではデジタル信号によってアナログ電圧・電源を切り替える場合などGNDノイズを分離するためなどに有用だと考えます。
ソフト的には
リレーの種類によって出力端子が常時ONで、LEDをONした時にOFFになるタイプ 1b/2b 接点と ONした時に接続される 1a/2a 接点がありますので、品番に注意しましょう。またコントロールするLEDに流す電流も使用環境の温度変化などが予想される場合、余裕をもって多めにするのが安心です。


2010年6月29日 (火)

Blankingのはなし

Blankingとは
[ Drain Blanking ]とも呼ばれ、パルス出力のRFパワーアンプの終段アンプの電源(ドレイン電源)をスイッチすることで、信号のない時間のドレイン電流をカットして効率を上げる手法です。
ハード的には
Drainblanking大電流を流すことが出来、ON抵抗が数十mΩというMOS-FETを使ってドレイン供給電源をスイッチします。この場合 P-CH という 2SJXXXのタイプのFETを選択して、+のVdd電圧に対してソースを電源側に繋ぎ、FETのドレインから出力します。 ここで大事な点として
1)ゲート抵抗 Rg と分圧抵抗 Rd を適正に選ぶ。スイッチ用のFETのON電圧によってRgはゲートにチャージした電荷を素早く放電できるように、できるだけ小さく選ぶ必要があります。しかしながらあまり小さいと電流が増えて、抵抗の許容容量を超えてしまいますので小さくするにも限界があります。FETのゲートスイッチ電圧とドレイン電圧によってRgとRdを計算します。5VでONするタイプでしたら、余裕を見て7V程度加えます。逆にあまり高くしますと蓄積電荷が増えて立ち下がり時間が増えてしまいます。計算は Vdd × ( Rg/(Rg+Rd)) = 7v で仮に Vdd= 50v Rg = 51Ω とすると Rd =313Ω 電流は 137mAなので Rg = 1W , Rd = 5.9W 必要になりますが、Duty 100% 運用でなければ Duty によって軽減できます。
2)FETのドレインとRFデバイス間の配線は最短距離にする。パルス波形は高調波も含んでいますので配線が長いとインダクタンスを持ちますので、電源波形がなまります。できればスイッチング用のFETを負荷の近くに持って行きましょう。
3)さらに立ち上がり波形を良くするにはドライブ用の Rd に並列にCと Rを繋げ、ONにするときに素早くゲート電荷を引き込むようにします。これはスイッチング用のFETのゲート容量によりますので、シミュレーションなどするかカットアンドトライで決めます。直列のRはリンギングやオーバーシュート防止のため必要です。
4)Vdd接続の電解コンデンサーを必要量確保する。パルスアンプでDuty 1% など低いDuty使用を考えた消費電力から電源を決めた場合、実際は瞬間的には数十倍のピーク電流が必要になります。電源によっては3倍程度までのピーク電流を許容していますが、通常の電源は電圧降下を起こすか電流制限して遮断されてしまいます。そこで瞬間的に電力を供給するため電解コンデンサーを接続してピーク電流を供給します。Q = V×T なので、1Aを1mS 電圧降下を0.1V許容するならば 1A×1mS =1mC(クーロン)0.1V を蓄えられるキャパシタは Q= C×V より 1mC ÷ 0.1V = 10mF =10000uF 程度必要となります。
ソフト的には
ドレインをブランキングする方法は他にドレインバーストとも呼ばれ、高速にスイッチングするタイプはレーダーや加速器など特殊な用途ですが、単にデバイスの保護の目的にもドレインのスイッチングは行われています。その場合はスピードは要求されないので、スイッチング素子と負荷との距離を離せますし、電源ユニット自体で ON/OFF機能を持つ場合はこのような回路は不要ですが、電源電流の計算や電源ユニットのピーク電流の考え方など参考になるかと思います。

2010年6月28日 (月)

APDのはなし

APDとは
[Analog Pre Distorter ] アナログ式前置歪み発生器です。RFアンプのリニアリティを改善するため、終段アンプの歪み特性と逆の特性の歪み発生器を前段において歪みを打ち消す役割の回路です。
ハード的には
Apd右図はダイオードを使ったAPD回路の一例です。ダイオードの非直線性を利用してONするぎりぎり付近にバイアスしておきますと、入力に高周波が入ってきた場合に小さなレベルの信号の時はダイオードに流れず、上側のリニア伝送回路で信号が伝達されます。出力が飽和してくるような大きなレベルの信号が入力されますと、ダイオードが高周波で多くバイアスされるためダイオードを通して信号が通過し、出力にはリニア伝送とダイオードの伝送信号が合成され、補正するための信号となります。
 APDは信号の歪み成分とリニア成分の相対的大きさの比が終段のアンプの歪み特性とピッタリ合わないと歪みは改善されません。このとき歪み成分を生成する時に必ず何らかの遅延で位相が狂ってしまい、リニア信号と合成するのにうまく合成できなくなります。上図は比較的広帯域に利用できる回路ですが、WCDMA信号などに対して歪み改善効果は4〜8dB程度です。
Apd2
上図は比較的狭い範囲で歪信号をつくるのに90°ハイブリッドなどを使って入力信号を分配する方式のものです。アンプで信号を増幅してダイオードに加えるなどした後、レベルや位相を合わせ、再度90°ハイブリッドで合成する回路を使い15〜20dB程度も改善される実績もあります。アンプやATTなどを通すため遅延が大きくなるので、リニアラインはセミリジッドケーブルなどをつかってディレイラインを構成します。
ソフト的には
 ダイオードなどで歪みを発生させる場合、温度などによって歪みの大きさやバイアス点などがずれてしまいます。温度でバイアス電圧を補償するなどして安定度を向上させる必要がありますが、他の項で紹介したBIASコントローラーなどが便利です。

2010年6月24日 (木)

3次歪みのはなし

3次ひずみとは
高周波信号を増幅する際、直線性が悪いと波形が歪みます。これを周波数スペクトラムで見ると基本波の他に高調波(ハーモニックス)成分が増えてきていることが分かります。3歪みとは2トーン信号で評価した場合、2トーンのすぐ両側に出てくる歪み成分をいいます。
ハード的には3imd
 ここでは直線性を測定する際によく使われる2トーン信号で説明します。2つの信号が入力された場合、理想的なアンプではそれ以外の信号が出てくることはありませんが、周波数ミキサーなどに見られるように非直線性がある場合、出力には2つの信号の和( f1+f2)と差(f2-f1)の2つの信号が現れてきます。 また、2つの信号それぞれの高調波 2f1 , 2f2 も出て来ます。ここで3次歪み信号とはこれらの基本波 f1,f2 と高調波 2f1 ,2f2 の信号が上記の様にミックスされて f1 ,f2 の間隔と同間隔で f1 の低域側に 2f1-f2 が、f2の高域側に 2f2-f1 が生成されます。3次歪みは2次高調波のように単に飽和領域レベルを上げたりしただけでは改善されず、A級動作にしたり、デジタルプリディストーションなどの手法で直線性も良くしなければ改善できないことから、3rdIMD や IP3などと呼ばれる指標で評価され、特に WCDMAやOFDMなどのピーク成分が高い信号に使用するアンプの性能を見るうえで大変重要な性能です。
 3次歪みは2倍波と基本波で生成されるので、基本波のレベルが 1dB 上がると、3次歪みは3倍の 3dB 増えるような性質があります。入力信号に対して出力レベルをdBで等間隔にグラフに書き、3次歪みの出力レベルも同じようにプロットした場合に、出力特性は傾き1の直線とすると、3次歪みは傾き3の直線が書けます。3次歪みは低い入力レベルでは数10dB下の値でも出力が飽和領域に近くなってくると3倍の傾きで大きくなってきます。実際にはあり得ませんが、出力レベルのグラフと3次歪みの直線を延長して延ばすとある1点で交わります。その出力レベルが OIP3[Output Intercept Point 3rd ]、入力レベルが IIP3 [ Input Intercept Point 3rd ]となります。
Povs3imd
ソフト的には
3次歪みを良くするには
1)飽和領域を使わない .... 余裕あるおおきな出力のパワーアンプにする
2)直線性を良くする ...... 電流をながしてA級で使う
などですが、そうするとどうしても発熱の大きい効率の悪いアンプになってしまいます。携帯基地局など、性能実験に使う時は良いですが、量産時には大問題です。ですから最近はデジタルプリディストーション技術やドハティ回路、電源変調などを使って効率を追求していますが、逆にOFDM波のピーク成分をデジタル的に下げるピーククリッパーなどDSPを駆使したデジタル・ソフトウェアの開発も重要になってきているかと思います。

2010年6月23日 (水)

グラファイトシートのはなし

グラファイトシートとは
[GRAPHITE SHEET]で、黒鉛をシート上に生成したものでデバイスの放熱に利用されます。最近ではノートパソコンの内部に使用してCPUの熱を全体に拡散し、ケースの一部が高温になるのを防ぐなどの効果があります。
ハード的には
GrafitePanasonicの“PGS®” グラファイトシートや大塚電機の高熱伝導 グラファイトシートなどが製品化されていますが、厚さ0.025mm〜0.5mm程度まであります。柔らかい構造なのでデバイスと放熱板の間に敷いて接触面を安定させると共に、横方向の熱伝達が優れているので、デバイスの発熱中心部から外周まで熱を効率よく拡散してくれます。黒鉛を固めたものなので種類によっては厚いシートは端からボロボロと崩れやすいものもありますが、Panasonic製のものはフィルム性で強く、薄くても丈夫ですが、かなり高価です。あくまでの横方向への熱拡散がメインなので放熱板の取り付け部が荒くても良いと言うわけではありませんので、加工の平坦度指定を忘れないでください。
 グラファイトシートは従来シリコングリスなどで放熱・伝導させていた時に起こった、グリス乾燥による熱伝達性能劣化を防ぐことが出来ます。他に主に厚さ方向に伝導度が優れた大塚電機のマニオンαなどがありますが、電気伝導率がグラファイトシートに比べて良くないので、数GHzで使用するデバイスには使用が難しいと考えます。厚さが1mmまでありますのでデバイスの上側に接触させて放熱するCPUやGPUなどへの利用が良いかと思われます。
ソフト的には
放熱についてはRFパワーアンプでは大変重要なテーマです。通常でも30%、リニアリィティを求めるA級アンプでは 10%以下の効率のアンプが多く、仮に 100Wのアンプでは 1KW近くが熱となって放熱されなければなりません。どんなに熱伝導率のよい素材を使って放熱してもセットの外部に熱を排出するしくみが効率よく働かなければやがて全体が高温となってしまいます。熱による温度上昇でアンプの位相が変わったりするのがシビアな場合は水冷などを検討したほうが良いでしょう。


2010年6月22日 (火)

I2Cページ書き込みについて

I2Cページ書き込みとは
この間のI2Cのはなしで書き足りなかったI2Cページ書き込みを書きます。
ハード的には
まずは
1)EEPROMなどのページ読み書き方法
I2cpager_w上図は16KB( 256x8Bit)以下のEEPROMへのアクセス方法です。読み書きするアドレスは8ビットで指定しますので、まずアドレス指定を書き込みモードのコントロールバイトで送り書き込み時は書き込む最後のデーターまで連続して送ります。読み込む時はアドレスまで送った後、再度スタートコンディションから読み込みモードのコントロールバイトを送ります。その後クロックに同期してデバイスからデーターが送られてきますが、次にデーターを受け取りたい時はマスター側からACKを返します。さいごのデーター時にACKを返さないことで終了を指示します。
 次に、それ以上の容量のEEPROMです。これには2種類のタイプがあります。
A)アドレスバイトを High & Low バイトと2バイト送り、A0〜 A15まで64KBまで指定できるようにしたもの。Microchipの 24C01C,24LC024など
B)コントロールバイトに 3Bit 拡張して 1バイトのアドレスを送って A0〜 A10までのアドレスを使う方法、さらにアドレスを2バイト使って A0〜A18まで使って512KBまで指定できるようにしたものがあります。microchipの24LC512など。
C)さらにデバイスアドレスを変えて最大8個を同一I2Cバス上に接続してコントロールバイトで見かけ上大きな容量のEEPROMをアクセスするように使うことが出来ます。
2)ページ書き込みのサイズに注意
Eeprompage各EEPROMにはページサイズといって一度に書き込みできるサイズが決められています。たとえば1Kbの24LC01Bでは 8Byteです。この場合 0x00 から 0x07 ですね。このとき続けて 0x08に書こうとすると 0x00に戻って上書きされてしまいます。また EEPROMの構造上これらページ単位で書き込みますので、1回づつ 0x00から0x07までページ書き込みをしないで8回書くのとページ書き込みを1回にまとめてするのでは、寿命に関係しますので、長期書き込みで信頼性を重視するならばページ書き込みを積極的に使うのが良いでしょう。
3)書き込みには時間がかかる
EEPROMはSTOPコンディションを受け取ると受信したページのバッファから実際のメモリーに書き込みを行います。通常5mS程度かかりますので、連続書き込みを早く行うと途中から書けないなんてトラブルが起こります。
ソフト的には
EEPROMには他にアトメルRohmセイコーインスツルなどコンパチブルな製品が多く生産されていますが、ページサイズやアクセス方法などメーカーで異なる場合が多いので、必ずデーターシートを確認しましょう。

2010年6月21日 (月)

I2C Read のはなし

I2C Readとは
I2Cはデバイスを組み込みCPUなどからコントロールする簡単なシリアル通信方法です。PLLやDACなどパラメーターの設定だけで事足りることが多くて、EEPROMなどを使用する以外はI2Cバスで読み込みを行う機会が少なく、実際読んでみたら読めないなんてことがあります。今回は読み込みを考えてみます。
ハード的には
やっぱり読み込みの代表例はEEPROMなどのメモリーでしょう。ここでは256Byte以下の小さなメモリをアクセスする基本を見てみます。Microchip社の24LCXXシリーズデーターシートを参考にしました。I2cread
まず書き込みを上図でおさらいしてみましょう。I2Cにはデバイスのアドレスと読み書きをコントロールする ControlByte があります。アクセス順は
1) START コンディション
2) Control Byte <---- デバイスからACK返答
3) Addres Byte <---- デバイスからACK返答
4) Dtata Byte <---- デバイスからACK返答
5) STOP コンディション
でデバイスからの応答は ACKのみです。
次に読み込みを行う場合です。
1) START コンディション
2) Control Byte <---- デバイスからACK返答
3) Addres Byte <---- デバイスからACK返答
  ( ここまでは、書き込みと同じですね。)
4)ここで再度スタートコンディションを送る
5) Control Byte <---- デバイスからACK返答
 違う点は最後のビットがREAD モード( High)です。
  (読み込みを改めて指定するコマンドです)
6) マスターがクロックを9クロック同じように送りながら
  CLKの Low->Highの時にデーターをデバイスから読み込みます。
7) 通常のプロトコルならば、マスターはデバイスからのデーター受信完了を示す ACKを送るべきですが、1バイトだけの場合・最終バイトの場合には ACKを返しません。
8) STOPコンディションを送る
 この場合、もしACKを返しますとデバイスはさらにクロックに応じて次のアドレスのデーターを返します。これを利用すると連続バイト読み込みが可能です。
ソフト的には
過去I2Cを使い始めた頃、上記シーケンスのようにして1バイト読み込みが完成したので、全く同じように8バイト連続受信しようとしてクロックを送ってはみたものの、最初の1バイトしか受信できずに困ったあげく、上記全部のシーケンスを8回繰り返してとりあえずOKにしてました。
 悪いのはデバイスにせいにしてたんですが、よくマニュアルを読んだら連続して読む場合ACKを返す必要があったことを知って反省しました。その他にもページ書き込み(連続書き込み)の制限を知らずにサイズを超えて一度に書き込もうとして失敗・書き込み時間が5mSほどかかることを知らずに、なぜか書けなくて悩んでたなんてことはまた別の項目で...

2010年6月19日 (土)

RF IC AMPのはなし

RF IC AMPとは
MMICとも呼ばれますが、SOT-86やSOT-89とよばれる小さなプラスチックパッケージのICで単体・単電源で使えて DC〜6GHz程度の周波数の増幅が出来て便利なアンプです。Ag40386Ag4038ゲインは 10dB〜 20dB P1dB出力で標準で +10〜 +24dBm パワー用が +30dBm程度までのラインナップがあります。メーカーではTriquint(旧WJ)RFHICなど各社からピンコンパチブルな製品も含めて提供されています。
ハード的には
Ag403schema GaAs や InGaP などの半導体を使った HBT(ヘテロ接合トランジスタ)で、ドレイン端子に 5V程度を供給するだけで良く、マイナス電圧のバイアスが不要なことから大変使いやすく出来ています。しかしながら高周波デバイスですので流れる電流は 80mAから150mAなどかなりの電流が流れますので、使用する電源電圧によって電流制限用の抵抗の値やW数など、注意して使用することが必要です。また、見落としがちな点としてドレインに電流を供給するインダクタですが、小さな値では問題ないですが比較的低い周波数で使う場合、SMDインダクターなどは電流があまり流せなくて電圧がドロップするものがありますので注意が必要です。
Ag403gain
 広帯域に使えるとはいっても、使用例はあくまで狭い周波数帯域なので周波数によって結合のコンデンサーやドレインのインダクターを変えます。周波数によっては入力にインダクターを入れたりしてマッチングをとるなど使用回路例に指示がありますので参考にしましょう。広帯域で使うとどうしても図のようなゲインの変化がありますので、入出力間に抵抗とコンデンサをシリーズにつなげた帰還回路をつけて周波数特性を改善します。
ソフト的には
ICはかなりの熱が出ますので、SOT-89の中央電極のGND半田部分にはスルーホールを10個程度付けて裏面にも熱を伝導させ逃がします。入出力はRF信号ですからストリップラインで計算してパターン設計します。
RF ICアンプのリスト
一覧で各項目で並び替えられるリストはこちら


2010年6月18日 (金)

ラダーネットワークのはなし

ラダーネットワークとは
[Ladder Network]で、はしごのように抵抗を繋いだ回路です。今回はD/Aとして使用できる簡単な R/2Rネットワークを紹介します。
ハード的には
LadderNikkohmなど抵抗メーカーに様々なラダーネットワーク抵抗がありますが、ちょっとしたD/Aとして電圧を制御したい時にディスクリートでこの回路を使うと便利です。右図は3ビットのR/2Rラダーネットワーク回路です。D0〜D2にはデジタルの3ビットの出力を接続し、OUTからはそれらのビット値に対応する出力が出てきます。注意する点として
1)正確な電圧を得たい時は、マイコンのVddを精密な電源で駆動するか、バッファを間に入れてそのバッファのVddを正確な電圧に調整する。
2)出力インピーダンスが高いので、出力電流がほしい場合にはこの出力をOPアンプなどでバッファして出力する。
3)デジタル出力が 0〜5Vの場合、出力電圧は 5V以上にはならないので、高い電圧がほしい場合はOPアンプで増幅する。
4)電源としてかなりの電流を出力したい場合はOPアンプで電圧を高めた後、エミッタフォロアー回路などで電源回路として構成する。
ソフト的には
かつてアナログ衛星放送のLNBを制御するのに周波数切り替えに 12Vと15Vで電圧を変える方法が用いられました。4Bitのラダー抵抗を使って、 12V は 2進数では 1100 、15Vは 1111 なので、上位2ビットはHレベル固定、下位2ビットは同じポートでOKなので、操作・回路が簡略化できますね。簡単な電圧切り替えでよい場合など、ポート制約上Bit数があまり必要がない場合など R/2Rのネットワークを覚えておくと便利です。

2010年6月17日 (木)

RFデテクターのはなし

RFデテクターとは
[RF Detector]で高周波信号を検出するための検波器です。高周波レベルをアナログ値に変換して、電波の出力の大きさや変調波形などを観測するのに使われます。
ハード的には
検波器にはその動作上2つのタイプがあります。1つは LT5534のように「Log検波器」と呼ばれ、内部に増幅器を多段用いて微小な信号から検出でき、dBmで示される電力値と電圧が比例します。Detector
もう一つがLTC5535のように[リニア検波器」と呼ばれ、比較的検出レンジが狭いですが、入力される電力(mW)にたいして出力電圧がリニアに出力されます。
アナログのパワー計などを駆動するのに適しています。
また、このタイプのリニア検波器は検波にショットキーダイオードなどを使っているものは変調信号を正確に検波するので、高周波信号の平均値だけでなく、ピーク値を測定する用途にも使われます。
Ltc5535_2
 また、検波器の中にはRMS検出回路を用いて、変調波形によらず真の実効電力を検出できるアナログデバイスのADL5501のようなICも開発され、CDMAや OFDMなどピーク成分の多い信号に対しても正確な実効値を測定することが出来ます。
TruepowerこれらのICには外付けフィルタ回路も用いて、低周波の変調信号にも対応できますが、逆にフィルタを使わず数10nSの高速なパルス信号も検出できます。
ソフト的には
 高速なパルス信号を検出しようとする場合、注意が必要なのは検出信号を増幅するOPアンプの選定です。せっかくデテクタICで高速に検出してもOPアンプのスルーレートが低いために立ち上がりがなまってしまうこともあります。できればレールトゥーレールOPアンプを使用して電源電圧目一杯を有効に使えるようにしましょう。
ICリスト
各社デテクターICのリストはこちら


2010年6月16日 (水)

熱雑音のはなし

熱雑音とは
抵抗体の中電子の不規則な熱振動によって生じる雑音のことをいいます。
ハード的には
とにかく抵抗器でなくても配線導線や半導体の内部抵抗など、電流が流れる部分ではそこにある電子が動いているわけですから、その動きが雑音電流を生じてノイズが出ています。これは絶対零度になれば無くなるはずですね。この雑音のレベルはどれくらいでしょう?Wikiによると抵抗体内で発生する雑音の電圧Vn[V]、電流In[A]は次式のようです。Vninここでk はボルツマン定数、Tは導体の温度(K)、Δfは帯域幅(Hz)、Rは抵抗値(Ω)です。高周波では電力で表されますので、電力は
          Pn = 4kTΔf
と表されます。この式をもっと現実的に dBm で表した換算式は
P_df
で示されます。例えば、スペクトラムアナライザーで RBW = 1000,000Hz ( 1MHz )で測定したならば、
Pn = -174dBm + 10Log( 1000000 ) = -174dBm + 60 = -114dBm
となり、理論上では スペアナのノイズフロアは -114dBmと測定されるはずですが、スペアナの能力によって誤差が生じます。
 測定例として  NF=3dB  Gain 40dB のアンプの入力を 50Ωで終端して、出力ノイズを測定するとします。入力は熱雑音だけと仮定して上記と同様にスペアナで測定すれば
  -114dBm + 40dBm(Gain) + 3dB(NF) = -71dBm と測定されるはずです。もしこれ以上になれば、測定系が問題なければ、アンプのNFが実際は悪いのではと考えられます。注意点として測定にはスペアナの設定はピーク検波でなく平均電力が測定できるような設定で行いましょう。
ソフト的には
上記電力換算でのノイズ測定は一定の50Ωで測定・比較する高周波では有効ですが、オペアンプ回路など入出力でインピーダンスが異なる回路では、注意が必要です。増幅率を決める帰還抵抗やバイアス用の電圧オフセット用抵抗など、高い抵抗値になる場合には最初の Vn を評価してノイズ量が大きくならないように相対的に小さな抵抗値を使う必要も出てきます。特に最近 1GHzもの帯域をもつOPアンプなどは出力帯域幅が広いので Δf の値が大きくなるので、オシロスコープなどで見る出力ノイズレベルも大きくなってしまいます。ノイズ対策には必要な帯域にフィルタリングすることも重要です。


2010年6月15日 (火)

抵抗の周波数特性のはなし

抵抗の周波数特性とは
リードタイプの抵抗はその線の長さなどで周波数特性は変化するし高周波ではあまり使われないので、ここではSMD用のチップ抵抗について考えます。
ハード的には
チップ抵抗は様々な種類がありますが、高精度・高周波でも安定なチップ抵抗が進工業などで発売されています。R_fresp一般的にチップ抵抗は抵抗と半田付け用の電極間のコンデンサ成分が大きく影響するため、周波数特性はサイズによって劣化します。サイズが大きくなると抵抗値が下がってくる(コンデンサの影響が大きくなる)のが一般的ですが、どのくらい劣化するかという程度が右の図です。
1005タイプでは1GHz程度まではほぼ使えますが、抵抗値が高い分寄生コンデンサの影響で抵抗値が下がります。さらに2012タイプでは1KΩが10MHz程度で半分程度になっています。
 高周波のアッテネーターを構成する際はあまり大きな抵抗値で作ると周波数の影響が出てきますので、注意が必要です。一般的には電力を消費しない回路だったら出来るだけちいさなサイズで設計するのが高周波的には有利だと言うことです。
ソフト的には
では、大電力のアッテネーターなどはどうするのでしょう?高周波のアッテネーターなどは横浜電子精工などの会社が 500mW程度のアッテネーターを作っています。また海外では数Wクラスのものも生産されています。


2010年6月14日 (月)

BackOffのはなし

Back Off とは
オーディオではヘッドマージンなどとも呼ばれますが、アンプの飽和電力と最大運用電力の比でアンプの素子毎に評価され、どこかでそのマージンが足りないと歪みを生じることから、レベルダイアグラムを使ってアンプのレベル配分等を検討します。
ハード的には
Leveld図は2段構成のアンプです。例としてWCDMA信号などを増幅しようとしてレベル配分を検討し、WCDMA信号にはピーク電力が通常の 10dB大きくなるので、そのレベルが歪まないか検討します。アンプはゲインが 14dB 、P1dBが +22dBmとして、入力信号が平均 -10dBm(ピーク0dBm)とすると1段目の出力では平均 +4dBmなので P1dBより18dBマージン(BackOff 18dB)があることが分かります。そしてマッチングのためのアッテネーター 3dBを繋ぐと平均レベルは 3dB 下がり +1dBm 、2段目のアンプの出力では平均レベル +15dBm マージンは 7dB( BackOff 7dB)となり、10dBより小さくなりピーク信号が歪む恐れがあることが分かります。
このレベルダイアグラムからも分かるようにこの場合は後段のアンプの P1dBを+25dBm以上あるアンプに変えるか、出力平均レベルがもう少し低くてもかまわない場合は、中間の ATT をあと 3dB増やして 6dBにすることで、後段の信号が歪むのを防ぐことが出来ます。
ソフト的には
この結果でも明確なように、全段のBackOffが18dBもあるので、ここでは P1dBが +15dBmあれば十分だと分かります。それでは低価格のICに変更することも出来ます。また仕様を変えることが出来れば入力信号をあと3dB下げる事が出来ればもっと小さなアンプでも大丈夫ですね。このようにアンプのゲイン配分やBackOffをレベルダイアグラムで検討することは設計の初期の段階で大変重要です。

2010年6月11日 (金)

HEMTとドレイン電流のはなし

HEMTとドレイン電流とは
HEMTは以前説明したRFFETですが、今回パワー用のHEMTのドレイン電流について考えてみます。
ハード的には
Ganb10右図は EUDYNA社の EGNB010MKという10W出力の GaN-HEMTの出力特性のグラフです。このようなデーターシートはSパラメーターもそうですが、標準のドレイン電流というのが存在します。この図の場合 Ids(DC)=100mA とありますが、これは無信号時(アイドル時)に設定したドレイン電流です。GaN-HEMTは通常A級で使うことはなく、AB級で使用するデバイスなので入力信号が増えるに従って、ドレイン電流も増えていきます。ここで 10W出力( 40dBm)時の電流を求めてみましょう。グラフで 40dBm出力時は入力は 27dBmのところですから Drain Effは 53%ぐらいと読み取れます。効率=(RF出力-RF入力)÷消費電力 なので ( 10W - 0.5W)÷ (50V x XA )= 0.53なので計算して X = 0.36 A となります。アイドル時に 100mAであったドレイン電流が、10W出力時は 360mAまでふえることになります。それではアイドル時の電流をもっとへらすとどうなるのでしょう?GaN-HEMTはドレイン電流を減らすと信号が少ない時にゲインが小さくなって増幅しなくなります。それでも大きな入力が入ってくると上記同様に電流が流れ、パワーを出力します。C級に近い動作ですね。逆にドレイン電流を増やすとどうでしょう?電流を流すことによって直線性の改善が行われます。しかしながらピークパワーはあまり変わらず、熱が増えますので、大出力の素子で電流を多く流すのは素子の熱的限界から冷却が大変になります。
 GaN-HEMTはあまり高帯域で使わないならばピークパワーが出ますので、最大パワー規格の10分の1ぐらいで使い、OFDM用などへの低歪み高効率のアンプに利用されます。
 また、EMC用などに高帯域のアンプに使う際は効率の良いアンプとしてフルパワー状態で利用されますが、帯域を広くするため帰還や周波数特性の調整で単体のゲインが落ちて来る点、フルパワーで使うため比較的ゲート入力パワーが大きくなってしまいます。このような場合以前のGateBIASのはなしのようなゲートバイアス回路(下図)Gatebias_2を使って低インピーダンスでゲートを駆動しないとRF入力信号によってゲートバイアスが深くなり(この場合マイナス側に深くなる)ドレイン電流が減ってしまい、パワーが出なくなったりします。図中のダイオードによって整流されるのですがダイオードを取り去ると逆にRF信号でゲートが+方向に振られ、ドレイン電流が増えすぎるトラブルも起きます。やはりある程度ゲインを確保して過大な入力にならないように設計することが重要です。
ソフト的には
データーシートのドレイン電流は GaAs-HEMTなどはA級で使うことが多いので、指定される電流値で問題なく動作するでしょう。しかしながらGaN-HEMTを使いドハティ回路や高効率のAB級など動作点が変わる回路の場合は実際にカットアンドトライでやってみるしかないかと思います。その際重要なのは放熱条件や使用温度などに注意して、最大どのくらいのドレイン電流を流せるかを計算しておくことです。効率が思ったより悪くて、実際にはパワーを出した時に許容熱損失量を超えていたなんて場合があるので注意が必要です。

2010年6月10日 (木)

プッシュプルAMPのはなし

プッシュプルAMPとは
[Push-Pull AMP]で出力ラインをPush(電流を流し出す)するデバイスとPull(電流を引き込む)デバイスで構成して必要な時に片方ずつ動作させることでA級動作のアンプなどにくらべ効率を上げた回路のアンプです。
ハード的には
Ppプッシュプル回路はオーディオでは出力にコンプリメンタリのトランジスタを使って構成する場合が多いですが、高周波のアンプの場合はセミリジッドケーブルなどを使ったトランス(バラン)で同じ極性のFETを2個使ってプッシュプル回路を構成します。右図に示すように高周波アンプ用デバイスでは1つのデバイスに2個のFETが内蔵され、プッシュプルで使うのが前提になっているのが多く見られます。それはプッシュプルで180°違った信号を合成することによって偶数時の高調波を打ち消す効果を期待しています。また、セミリジッドケーブルでのトランスによって2つの信号に分ける際にインピーダンスを1/2に変換する効果で高出力デバイスの低い入出力インピーダンスにマッチングさせるのに有利に働くからです。図でセミリジッドケーブルの向きに注意してください。中心導体側に分けられた信号はFETのゲートに入り増幅されたドレイン出力は合成時にトランスの外皮側に接続されます。(ここでは説明のため直流カットのコンデンサーを省略してあります) プッシュプルアンプの場合は両方のFET のドレイン電流を同じようにしてバランスをとります。そのためゲートバイアスは片方づつ個別に調整できるようにするのが良いでしょう。
ソフト的には
小信号のアンプではバランを使わずに90°ハイブリッドで2つのアンプを合成する場合がありますが、その場合はプッシュプルでなく、単なる合成アンプとなります。最近では90°位相を変えた信号を使い、かつ片方のデバイスの動作点をC級(ピーク信号時のみ働く動作)近くにして出力合成回路を工夫して高効率をめざしたドハティ回路なども使われていますが、あくまでバランなどで180°位相の違った信号を合成するのがプッシュプルアンプです。


2010年6月 9日 (水)

GaN HEMTのはなし

GaN HEMT とは
GaN[窒化ガリウム]のHEMTです。最近増えてきた白色発光ダイオードの元になる GaN 素子を使い HEMTとして高周波パワー素子として多く開発されています。
ハード的には
高い電圧( 28V 〜50V程度)で動作させられるためパワーを出しても電流が少なくてすむこと(GaAs で 10V 10A 必要だった電源が、50V 2A で済むのでケーブルが細くできる)、チップ上の最大動作温度が高く(200°以上)、ベースとなる半導体の熱伝導がよいので面積あたりの出力が大きく取れる、などの利点を生かした高効率なアンプとして次世代携帯基地局などへの応用が進んでいます。
Ganssg右図は 4mmx 5mm 程度の大きさで 6W を出力する CREE の CGH40006P の試作ボードの小信号周波数特性を示しています。500MHzから 6GHz程度まで12dB程度のゲインを得ています。FETの特性上どうしても低周波域でゲインの盛り上がりが出てしまいます。帰還をかけてフラットにする事は出来ますが、パワーを上げるにつれて帰還抵抗の熱損失が大きくなること、大きい抵抗を使うと周波数特性が劣化するので、回路的に低い周波数を落とすような入力回路を構成したりします。
Ganpwegain次の図は出力パワーとゲインの比較です。周波数によってゲインは変わりますが、問題はパワーを出した時にゲインが落ちる程度が GaAS HEMTなどと違い早くから緩やかに落ちる点です。通常出力を評価する P1dB( 1dBゲインが落ちるパワー)でみると、3GHzで26dBm(400mW程度)しかありません。GaNはよく P3dB( 3dBゲインが落ちるパワー)で表されますが、これでは 36dBm(4W)程度出ることになります。しかしながら GaAsなどは P1dBからすぐに出力が飽和してしまうに比べて、GaN はその先も39dBm(8W)程度までダラダラパワーが出ているのが特徴です。このことは GaN HEMTは素子そのものでは直線性が悪く歪み率も良くないですが、ピークパワーが出ていることを利用して、歪み補償回路をつけると低歪みで高効率なアンプを作れます。最近のWiMaxなど通常パワーの16dB以上高いピークパワーを持っているOFDM信号などに対して、デジタルプリディストーション(補償回路)などの技術を利用して有効に開発されています。
ソフト的には
RFパワーデバイスは広帯域に使える素子は、パワーが小さいものになってしまします。広帯域なアンプは最近自動車の EMC 試験などで要求が高まっていますが、数GHzで100Wを超える高帯域なアンプを作るには上記のような小さいアンプを90°ハイブリッドなどのコンバイナーで合成する方法しかありません。それでもGaN HEMTの出現で高出力高帯域のアンプが作りやすくなっており、特に EMCのような飽和パワーで利用できるアンプの場合は有用です。


2010年6月 8日 (火)

LDOレギュレーターのはなし

LDOレギュレータとは
[Low DropOut ]レギュレターで、いわゆるリニアレギュレーターの中で入出力差が少なくても動作する電源ICです。入出力差が少ないと言うことはICの損失(発熱)が少なくできるので、小型化には有用ですが、普通の電源ICと同じように使ってもうまく動作しない場合があります。
ハード的には
LDOレギュレーターは制御のためのトランジスタに NPN のエミッタ出力でなく、PNPのコレクタ出力を使ったり、FETを使ったりします。これによって制御電圧が低くできたり、動作時の電圧差が少なくてすむようになりました。回路的には電源ICのはなしを参照ください。
Avr
図は通常のレギュレターIC uPC7805 と LDO のuPC2905 の推奨回路です。大きく違うのは出力側のコンデンサーです。通常は単に 0.1uF程度を付けて高域での出力インピーダンスを下げて使えばいいのですが、LDOの場合は大きな電解コンデンサーが要求されています。 これはLDOのコントロールの動作に原因があり、エミッタフォロアと違って電圧を下げるにはコレクタ<->エミッタ間の抵抗値を上げて行うので、出力電流によって出力インピーダンスも大きく変化するからです。ですから電流が少ない時はインピーダンスが高くなるので比較的大きなコンデンサーを入れないと出力が変動してしまいます。また、ESRの小さいセラミックコンデンサーなどを使うと、電流が流れた時に高周波域で位相が変化して出力インピーダンスにピークが生じ、発振してしまします。Rohmなどでは LDO IC の資料に出力コンデンサーの ESR は電流にもよりますが、おおむね 1Ω以上 600mA時で 10Ω以下などと指定されています。セラミックコンデンサーなどでは0.1uF程度でも 1Ωを割り込む周波数が数10KHzでありますので、性能がよいからといって大容量のセラミックコンデンサーを使えばいいかと思うと、簡単に発振したりしますので、データーシートに従い電解コンデンサーなどを使う必要があります。
ソフト的には
最近のLDOICではこの対策がなされ、「セラミックコンデンサーOK」という製品も増えてきました。簡単な三端子電源だといっても使い方で思わぬトラブルが発生します。データーシートはトラブル防止のマニュアルでもありますので、きちんと確認しましょう。


2010年6月 7日 (月)

SMDセラミックコンデンサの周波数特性のはなし

SMDセラミックコンデンサの周波数特性とは
SMD型のチップセラミックコンデンサーを電源バイパスや、カップリングに使う場合そのもっている周波数特特性に合わせて使用する必要があります。今回は 1000PF以下の容量も含めて高い周波数ではどのような特性か検討してみます。
ハード的には
下図はTDKのセラミックコンデンサーの周波数特性などを調べるツールで得たデーターをグラフにしたものです。
C_fresp
周波数特性はほとんど容量値で決まりますので、インピーダンスの最小値付近の値はサイズによって多少変わる程度です。緑のラインは 47PF,470PFなので 1GHzで良いデカップリング特性を得るには27PF程度が良さそうです。しかしながら周波数が上がるほど半田端子や内部電極のインダクタンス成分で一番下がっている場所のインピーダンスは上がってきています。高い周波数ではGNDの違う方向へ同じ容量の数個のコンデンサーをつけてインピーダンスを下げる工夫もします。また広帯域に低いインピーダンスにしたい場合は、10PF+100PF+1000PF など並列につなげて使います。ゲートバイアスのはなしなどにゲートバイアス回路のインピーダンスを下げる回路例を記載しています。
ソフト的には
コンデンサー単体では良好でもプリント基板の実装パターンにコンデンサーが繋がる配線が細かったり、GNDが取れていなかったりすると希望の特性は得られません。GND側にはスルーホールビアを付けてGNDインピーダンスを下げることが大事です。10GHzまでの高い周波数特性のはなしは2につづく

2010年6月 4日 (金)

「分からない」を知る

「分からない」を知るとは
まったく初めてな仕事、やったことのない開発をやらなければならない時どうしますか? 誰かに聞くにしても、何をどう聞いたらよいのか想像もつかない...なんてことに出会った場合、どうしますか?
ハード的には
まずその内容が、世の中にすでにあるもの・あるいはその改良版など、理論的に実現可能かどうかを確認しましょう。「タイムマシンを作れ!」なんて無理はすぐ分かりますね。分からない時はまずネットで調べるか、分かりそうな友人・学者・メーカーに聞いてみる。全く可能性のないような場合は、「自分がその研究者になるんだ」などの決意をもってやる以外では、きっぱりあきらめましょう。
しかしながら、立場的にやらなければならない or 出来る可能性を信じて....チャレンジ精神で「やってみよう」と、とにかく開発を決意したなら、次の内容をチェックしてみましょう。
1)仕事の内容によっても違いますが、現在自分の出来る部分はあるのかないのか。
2)自分の出来そうな分野以外は何が必要なのかを明らかにする。Know
3)会社のチームで各分野を任せられる体制があるならば、それらを任せます。
4)いよいよ自分の担当分野で、やらなければならないことがはっきりしてきたならば、それらをさらに検討します。
 たとえば、あなたの担当分野が「高出力のiPod用のFMワイヤレスアダプタを作れ」だとしましょう。FMワイヤレスだったらできそうですね。ここで、あなたが「何が分からないのか」をはっきりする必要が出てきます。開発とはやはり何か未知な事を試作・実験を通じて実現してゆく事ですから、何も分からないことが無ければすぐに作れるでしょう。逆に「何からやったらいいのか、何から手を付けたらいいのか分からない」ことが一番不安で、問題なのです。
 上記の例では、
1) FMワイヤレスICがあることが判るし回路図もあるだろう
2)iPodとの接続はしたことないからわからない
3)高出力ってどれだけ出ていいかわからない
4)試作するにはどうしたら
など漠然とでも良いので自分の判っていること、判らないことを出してみましょう。
「FMワイヤレスのICがあることは判っているし、製作記事も見たことがある。それならば最新のFMワイヤレス用のICを探してみよう。」と動ける分野と、「iPodと接続なんてどうしたらいいのか何も判らない」となれば、とにかく「iPodのコネクタの接続仕様が入手できるか、既存のアダプタを買ってきて分解してみようか?」 高出力ってどれくらいかなと、日本国内での電波法を調べる必要がある。「その出力を出すにはどのトランジスタが必要か?」「試作するには基板作成はCADで出来るから、基板が出来た後、調整するにはどのような測定器が新たに必要か?」など既存の手法の動きを始めることが出来るでしょう。
ソフト的には
開発・技術関連の仕事は「分からないこと」があたりまえです。「分からない」ことよりも、「何が分かっていないかが分からない」ことが一歩を踏み出せない原因です。まずは落ち着いて、自分が分からない・弱いことは何なのかをチェックしてみましょう。


2010年6月 3日 (木)

90°ハイブリッドのはなし

90°ハイブリッドとは
他に 3dBカップラー、90°ハイブリッドカップラーなどとも呼ばれます。高周波で信号を2つに分配したり、合成したりします。
ハード的には
以前紹介したセミリジッドケーブルの中心導体を絶縁して、2本密に入れた同軸線がもっとも簡単な90°ハイブリッドカップラーとしてCOAX から販売されています。Qhyb_2
1/4波長の同軸結合線では INから入力された信号は -90°端子と0°端子に分配して出力されます。理論上半分の電力ですので -3dB の出力が両方から出てくるという訳です。さらに ISO端子は通常 50Ωの負荷を接続して出力端子からの反射電力が逆に合成されて IN 端子には戻らず、この ISO 端子に出てきます。
 この性質を利用して入出力に90°ハイブリッドを使い、2個のアンプを合成することで入力VSWRを良好にしたヘッドアンプなどに利用されます。
 90°ハイブリッドは小信号( 10W程度まで)のSMD型が ANAREN Microwave などで作られています。それ以上の 400W程度までのパワー用途は IPP社などで生産され、主にパワーアンプを合成して出力を上げるのに使われ、2段で4合成、3段で8合成、4段で16合成などパワーを数GHzまで合成して使われます。またSMAなどのコネクタ型もあり、数10GHzまで使用されます。
ソフト的には
1/4波長のしくみを利用しているので、周波数的にはカップリング特性が端子によって違います。-90°端子は直結しているので、帯域外周波数でも通過します。特に低周波領域ではほとんど減衰しないので注意が必要です。反対に0°端子はカップリング特性に頼っているので、帯域周波数以外は大きく減衰します。そのように単体ではあまり広帯域に使用できませんが、各周波数ごとのカップリング回路を内部で直列接続した広帯域の90°ハイブリッドも開発されています。

2010年6月 2日 (水)

コンデンサーの温度特性のはなし

コンデンサーの温度特性とは
コンデンサーには容量誤差としてランクがありますが、±1%ならば F 、±5%ならば J 、±10%ならば K と容量値の後に記載されています。それでは温度特性はどうでしょう?
ハード的には
セラミックコンデンサーは 容量表記の後に CHや B特 、F特などと呼ばれています。下図はそれらの温度特性の例です。
C_temp
セラミックコンデンサーの CH特性は主に100PF以下の小容量で使われ、温度特性の良好なものです。続いてB特性、これらは 100PFを超えて 1000PF程度まで用いられます。それ以上はほとんど F特で、高温・低温で容量が減りますので、時定数を作るような場所には使用できません。
 そのような大容量ではフィルムコンデンサーを使用します。おおむね数百uFまで利用でき、温度精度は+1%(低温時)-3%(高温時)程度になっています。
 電解コンデンサーについては、通常のアルミ電解コンデンサーは電解液という液体を使っていることから温度による劣化は避けられません。低温時には半分近くなりますし、容量だけでなく内部抵抗が増大します。このような不都合を改善させるために電解液の変わりに導電性高分子を使ったOSコンが開発されました。低温での容量・内部抵抗の落ち込みが改善されています。タンタルコンデンサーも温度特性は良好ですが、劣化時破壊モードがショートになるので、電流を流す電源のデカップリングには使いにくいです。最近内部にショート防止のヒューズが入った物も出来てきました。
ソフト的には
コンデンサーは同じ容量でも沢山の種類があります。SMD型セラミックコンデンサーだけでもサイズ別や温度特性別、厚さの薄いもの、大容量小型のものなど品番を指定するのも大変です。購入にしても容量が大きくても大量に売れている製品は飛び抜けて安価の場合があります。メーカーによっても互換性が比較的あるのでサイズ・容量と精度が合っていればと、選びがちですが温度特性にも注意願います。

2010年6月 1日 (火)

アンバッファゲートICのはなし

アンバッファゲートICとは
 CMOSゲートICシリーズの中で、1段だけのCMOSプッシュプル構成のICシリーズを74HCUXXシリーズと呼んでいます。[U]の意味は UnBuffer ということで、1段だけで波形整形バッファーがないという意味です。
ハード的には
Hcu右図は 74HCU04のアンバッファーインバーターの1個分の回路です。
 単純にコンプリメンタリプッシュプルのCMOS構成と入出力に保護ダイオードと抵抗があります。このため、CMOSの閾値付近の特性が緩やかになっているため、アナログ的な使用が出来、特に発振回路などは30MHz程度まで十分に発振できます。
 もうすこし高速な周波数で使いたい場合は 74AHCU04 などを検討すると良いでしょう。
実際に1個の74AHCU04でFMワイヤレスマイクを製作した例がRF (アールエフ) ワールド 2010年 06月号に紹介されています。
右図はXosc74HCU04を使った水晶発振回路です。この回路は 74HC04,74AC04などでも使用可能で、周波数によってはRXを数100Ω程度入れたりして水晶のオーバートン発振にも使われます。電源回路のデカップリングには 1000PFと 0.1uFの両方のコンデンサを入れておくと安心です。
また、このような高周波だけでなく、オーディオ帯域でも使用可能でゲートを複数パラレルに接続することで出力電流を増やすことが出来ます。Audamp下図は3個パラレル接続してステレオのヘッドホンアンプにした例です。(図は 1CH分)電源は 5Vですが、デカップリングに 0.1uFと 100uF程度入れておくと安心です。
ソフト的には
ゲートICといっても中身はアナログのデバイスの組み合わせであることを忘れないでください。特に高速な周波数を扱う時には、ICの入力インピーダンスはDC時の高インピーダンスでは無くなりますのでCAD配線、パターン設計はマイクロストリップラインのインピーダンス整合を考えるなど、工夫が必要ですね。


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