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2010年6月14日 (月)

BackOffのはなし

Back Off とは
オーディオではヘッドマージンなどとも呼ばれますが、アンプの飽和電力と最大運用電力の比でアンプの素子毎に評価され、どこかでそのマージンが足りないと歪みを生じることから、レベルダイアグラムを使ってアンプのレベル配分等を検討します。
ハード的には
Leveld図は2段構成のアンプです。例としてWCDMA信号などを増幅しようとしてレベル配分を検討し、WCDMA信号にはピーク電力が通常の 10dB大きくなるので、そのレベルが歪まないか検討します。アンプはゲインが 14dB 、P1dBが +22dBmとして、入力信号が平均 -10dBm(ピーク0dBm)とすると1段目の出力では平均 +4dBmなので P1dBより18dBマージン(BackOff 18dB)があることが分かります。そしてマッチングのためのアッテネーター 3dBを繋ぐと平均レベルは 3dB 下がり +1dBm 、2段目のアンプの出力では平均レベル +15dBm マージンは 7dB( BackOff 7dB)となり、10dBより小さくなりピーク信号が歪む恐れがあることが分かります。
このレベルダイアグラムからも分かるようにこの場合は後段のアンプの P1dBを+25dBm以上あるアンプに変えるか、出力平均レベルがもう少し低くてもかまわない場合は、中間の ATT をあと 3dB増やして 6dBにすることで、後段の信号が歪むのを防ぐことが出来ます。
ソフト的には
この結果でも明確なように、全段のBackOffが18dBもあるので、ここでは P1dBが +15dBmあれば十分だと分かります。それでは低価格のICに変更することも出来ます。また仕様を変えることが出来れば入力信号をあと3dB下げる事が出来ればもっと小さなアンプでも大丈夫ですね。このようにアンプのゲイン配分やBackOffをレベルダイアグラムで検討することは設計の初期の段階で大変重要です。

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