90°ハイブリッドのはなし
90°ハイブリッドとは
他に 3dBカップラー、90°ハイブリッドカップラーなどとも呼ばれます。高周波で信号を2つに分配したり、合成したりします。
ハード的には
以前紹介したセミリジッドケーブルの中心導体を絶縁して、2本密に入れた同軸線がもっとも簡単な90°ハイブリッドカップラーとしてCOAX から販売されています。
1/4波長の同軸結合線では INから入力された信号は -90°端子と0°端子に分配して出力されます。理論上半分の電力ですので -3dB の出力が両方から出てくるという訳です。さらに ISO端子は通常 50Ωの負荷を接続して出力端子からの反射電力が逆に合成されて IN 端子には戻らず、この ISO 端子に出てきます。
この性質を利用して入出力に90°ハイブリッドを使い、2個のアンプを合成することで入力VSWRを良好にしたヘッドアンプなどに利用されます。
90°ハイブリッドは小信号( 10W程度まで)のSMD型が ANAREN Microwave などで作られています。それ以上の 400W程度までのパワー用途は IPP社などで生産され、主にパワーアンプを合成して出力を上げるのに使われ、2段で4合成、3段で8合成、4段で16合成などパワーを数GHzまで合成して使われます。またSMAなどのコネクタ型もあり、数10GHzまで使用されます。
ソフト的には
1/4波長のしくみを利用しているので、周波数的にはカップリング特性が端子によって違います。-90°端子は直結しているので、帯域外周波数でも通過します。特に低周波領域ではほとんど減衰しないので注意が必要です。反対に0°端子はカップリング特性に頼っているので、帯域周波数以外は大きく減衰します。そのように単体ではあまり広帯域に使用できませんが、各周波数ごとのカップリング回路を内部で直列接続した広帯域の90°ハイブリッドも開発されています。
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