ハーモニックのはなし
ハーモニックとは
[Harmonics]で、電気の世界では高調波と呼んでます。今回は高調波で信号がどのように影響されるか見てみます。
ハード的には
まず、歪みのない正弦波を考えてみます。これは波高A周波数θの とき A*sinθと表現されます。ここでは基本波の大きさを1として sinθとします。2倍波は sin2θ 3倍波は sin3θ と表すことが出来ます。
右図はアンプの出力が飽和した時のクリップ波形の例です。このグラフは sinθ+0.15sin3θ の加算結果で、3倍波が 15%加わった時の波形です。いわゆるクリップした時は3倍高調波が出ているのが分かるかと思います。
次は矩形波です。デジタル信号などで急峻な立ち上がり、立ち下がりの波形はどのような周波数成分を持っているのでしょうか?この波形は sinθ+0.3sin3θ+0.15sin5θ+0.08sin7θ+0.04sin9θ で計算しました。奇数次の高調波が弱まりながら加算されているのが分かります。このことから矩形波は少なくとも10倍以上の高調波まで最低4%程度は出ているのが分かります。 50MHzのクロックでは 500MHzまでも高調波成分が含んでいるので、パターン設計をいい加減にすると波形が歪んだり、思わぬ輻射ノイズが出て苦労することがあります。
それでは高調波が2次、3次と等間隔に出てくる波形はどうでしょう?図は sinθ+0.4sin2θ+0.2sin3θ+0.1sin4θ+0.05sin5θ での結果です。どうやらのこぎり波ですね。
ソフト的には
一般的にはゼロ付近のクロスオーバー歪みが出てくると2倍の高調波が増えてくるので、デバイスの電流を増やさなくては...とか、3次歪みが出ないように電圧を上げて直線性を良くしなくては,,,など、歪みのないアンプのために苦労しています。オシロスコープの波形を見てどんな高調波が出ているか想像しながら、フィルタリングの定数を決めるのも楽しい?でしょう。
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