AppCADのはなし
AppCADとは
アジレントテクノロジー社が無償で提供している高周波用のツール集です。ホームページからダウンロード出来ます。
ハード的には
今回はマイクロストリップラインを計算するツールを紹介します。
1) 起動したら左のメニュー欄の[Passive Circuit]を選択
2) いろいろなストリップラインの図が出てくるので、今回は Coplanar Waveguide の両面のGNDプレーン付きのものを選択。
3) 上記のような図が出てくるので、各入力欄に必要事項を入れます。
・まず最初に使用する基板の誘電率を左下のポップアップメニューで選びます。
ここではガラスエポキシを使うとして、 FR-4 を選択します。εr=4.6となりましたね。
メニューにない時は一番上の[->Enter custom value ]を選べば、直接値を入力できます。
・次に使用する周波数を入力します。
・Length Unitsの項目は [mm]を選んでおきます。
4) 次に基板のパターン情報ですが
・基板の絶縁層の厚さを [ H ]の項目に mm で入れる。 1mm なら [ 1 ]を入力。
・次に [ T ]の項目に銅箔の厚みを入力。 18ミクロンならば [ 0.018 ]と入力。
・いよいよパターン幅ですが、 [ W ] に導体幅、[ G ]にギャップの幅を入れます。
5) 右上のボタン [ Calculate Z0] を押します。
すると下のボックスに計算値が表示されます。Z0= に希望の数値が出るように、Wと Gの値を変えて入力しながら幅とギャップを求めます。
6) 幅を広くするとインピーダンスは下がります。また、ギャップを狭めますと同様にインピーダンスが下がります。しかしながらギャップを広くしすぎますと、後で調整用のコンデンサなどを半田付け出来なくなりますし、狭くするにもパターン間の製作上・絶縁上で限度があります。また、パターン幅も高い周波数ではそれだけ浮遊容量が増え、実際的な基板ロスが増えますので、10GHz以上は1mm以下の伝送ラインにするほうが良いでしょう。
7) 計算結果には Elect Length の欄に波長が出てきます。基板上の [ L ]に設定した長さの結果ですので、基板上でλ/4のラインを作る時などこの値が 0.25になるよう長さを選びます。
メインメニューに戻るには右上隅の[ Main Menu ]ボタンを押します。
ソフト的には
他の表側にグランドがない場合のストリップラインや導波管の中の同軸導体など様々なインピーダンスが計算できますので、マイクロ波関連には有用なソフトです。
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