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2010年5月12日 (水)

A/D変換のはなし

A/D変換について
今回は特に組み込みCPU内蔵のA/Dコンバーター機能を使用する場合の注意点について書きます。基本的にはA/D変換ICとCPU内蔵A/Dコンバーターの使用法は大差ないですが、内蔵の分アクセスが簡単ですが、アナログ信号とデジタル信号が近くなりやすいので注意が必要です。
ハード的には
H8adA/Dコンバーターは入力インピーダンスが高いのが普通で、外部からの雑音によって影響されやすいです。次に使用上の注意を書きます。
1)使用していないA/Dポートは抵抗などでプルダウン(プルアップ)しておく。誘導ノイズで入力端子がラッチアップして他のチャンネルに影響を与える場合があります。
2)雑音除去のため抵抗やコンデンサーによるローパスフィルタを構成してノイズを除去します。
 あまり大きな値をつけるとアナログ信号の変化について行けない場合がありますので、その点の考慮が必要です。安定した値を読むだけでしたら 0.1uF 程度のコンデンサーで問題ありませんが、数mSの変化を見る場合は 1000PF程度に抑えておきます。
3)アナログ信号用のGND(アナロググランドAGND)を必ずアナログ信号入力と一緒に信号源まで持って行く。デジタルノイズによってアナログ値が影響を受ける場合がありますので、時にはデジタル信号との間をガードするようにパターンを作成します。デジタルGNDと分離できない場合はベタGNDを強化するなどGND電位の安定化をするため注意する事が必要です。
4)微小な信号の場合は信号源でOP-AMPなどで増幅して、A/D入力付近で入力電圧範囲に合わせるよう分圧する。
5)量産時などA/D検出電圧を絶対値で利用する場合、A/Dリファレンス電圧に注意する。
Lm4132
 通常のマイコン電源5VなどはレギュレーターICを使ってもICのロットやバラツキで 4.6V〜5.5V程度の誤差がある可能性があります。せっかく測定してもセットによって測定値がバラバラ...1台ごとに校正値を補正するのは大変...そんな場合はリファレンス電源にLM4132などのシャントレギュレーターを使って安定化します。4.096Vなどの電圧も用意され10Bit A/D に好都合、電圧誤差 0.1% 温度誤差 10 ppm/°C 程度を保障しています。
ソフト的には
CPU内蔵のA/Dコンバーターはレジスタをセットすれば、自動で変換結果レジスタに取り込んでくれたり、割り込みで平均処理をするのに簡単な場合が多いのでよく利用します。A/D入力を使って制御するソフトを開発する時は、デバッグの時に備えてコンソールやRS232Cでコマンドで A/Dの値を読めるようにしておくと便利です。制御のタイミングに合わせてデーターを表示しておいたりして、ハード的な電圧とCPUが認識する電圧がわかるので比較が容易になります。


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