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2010年4月22日 (木)

RFパワーアンプのはなし

RFパワーアンプとは
[Radio Frequency Power Amplifire]です。RFの定義からは 30KHz以上の高周波を扱うアンプで、パワーアンプというと出力は100mWをこえるあたりからではないでしょうか。携帯電話の出力電力もピークでは500mWを超えるので、小型のパワーアンプが入っていると言えます。大きいものではラジオの送信所のアンプで数10KWの出力を持つものもあり、過去沖縄の VOA放送局( Voice Of America)の近くでは、「アンテナのそばに行くと蛍光灯や電球が灯る」なんて話があるほど強力な電波を出していました。
ハード的には
30MHz以下の低い周波数では、MOS-FETが使われ高周波ウェルダーなど数KWの出力のアンプが用いられます。3GHz以下の周波数ではMOS-FETの中でも比較的安価で効率の良い LD-MOS と呼ばれるFETが使われ、携帯の基地局やテレビ放送中継用アンプなど広範囲に使用されています。なかには1デバイスで、パルス用ですが 1KWもの出力を出すデバイスもあります。また、MOS-FETのなかでも 比較的低い周波数から広帯域増幅に用いられる VD-MOSと呼ばれるデバイスも開発されています。
 Polyfet というアメリカのメーカーではアプリケーションノートで自社のデバイスを使ったRFアンプの回路例や実装例、性能測定結果などを数多く公開しています。セミリジッド同軸線のバラン(高周波トランス)やトロイダルコアを使った製作例などはアンプを作る上で大変参考になります。Sk702
さらに高い周波数までのアンプは ガリウムヒ素( GaAs)半導体を使ったものが主流で、1MHzから1GHzのような広帯域のもの、数GHzから数10GHzまでの間で使われています。しかしながら使用する電圧が12V程度と低いので、高出力の場合大電流が必要なこと、ゲートバイアス用にマイナス電源が必要で、バイアスがかからない時はショート状態になるので、機器の保護回路が必要な点など、使用するには経験と知識が必要です。最近は GaN(窒化ガリウム)を使ったデバイス GaN-HEMTが多く開発され、その単面積あたりの出力電力の大きいこと、高い電圧(50V以上)で使用できる点などが評価され、単一デバイスで14GHzでも数10W出るものも出来ています。
ソフト的には
上記GaAs-FETのアンプにはハード的に保護回路を設けられ、ゲート電圧が安定した後、ドレイン電圧をかけるようなしくみになっていますが、多くのデバイスを使うようなアンプの場合、個別の故障を検出したり、過電流・高温を検出するのにマイコンとセンサの利用が今後ますます増えてくると考えられます。また、広帯域・高出力のアンプが最近車の EMC (外部からの電波による誤動作が無いかの試験)測定で要求が増えています。そのため、システムとして測定周波数をバンドで分け、GPIB等でアンプを制御してフィルタやアンプを切り替えます。その際切り替える、高周波リレーの動作速度の制限から、数100mSから数秒切り替わるのに時間がかかります。そのあたりを考慮してプログラムをしないと、切り替わる途中でパワーを出したりしてアンプやフィルターが壊れる場合があります。立ち上がりや電源の切り方にも注意が必要です。

------------- 高周波アンプのお問い合わせは ---------------------------------

(株)アールエーディー
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