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2010年4月13日 (火)

カセットレシーバーのはなし

カセットレシーバーとは
私が初めて就職した会社の製品でした。輸出用のオーディオ製品でAM/FM/SW(短波)/LW(長波)のラジオ(もちろんFMはステレオ)をもったオーディオアンプにカセットレコーダーがついて、しかも当時の機械式デジタルクロックが1つのパッケージにはいった、いわゆるホームステレオでした。製品によってはそれらにレコードプレーヤーも付属できスピーカーもセットにして、当時(1970年代)ヨーロッパや中近東に輸出していました。
ハード的には
ラジオ少年だった私はラジオ部の調整・検査など一通り理解していましたが、バンド切り替えや周波数の上限下限でのトラッキング調整(低い周波数はコイルで合わせ、高い周波数はトリマーコンデンサーで合わせる)などのノウハウや、FMステレオのパイロット信号検出・調整など初めての経験も多くありました。また学生時代からカセットステレオのメカニズム・動作などは理解していましたが、録音となるとバイアス発振の周波数やレベル、イコライザ、メカニズムを評価するワウ・フラッター、DolByなどの測定は全く初めてでした。当時出始めたメタルテープへの対応から、周波数特性と歪み率の測定などカセットでも当時15KHzまで録再できるなんてスペックが当たり前の時期だったですが、それを実現するのはいかに大変かも実感しました。
 レコードプレーヤーも全く初めての経験で、再生イコライザ回路やシールド線のグランド処理・雑音対策、オートチェンジャーユニットに感動したり、モーターユニットからの誘導ハム音で苦労するなど、1つの製品をまとめ上げ量産するための技術には大変感心しました。
ソフト的には
1つの筐体にいろいろな機能を詰め込んだ製品は現在でもありますが、当時はマイコンなど無いので全てメカニズムスイッチで行われていました。例えばカセットレコーダーのRECスイッチからレバーでプリント基板上の録再切り替えスイッチに動作を伝えるとか、選局つまみからナイロン糸とプーリー(滑車)で周波数表示の文字盤に動きを伝え、さらに選局バリコンの軸を回します。
 でも電源を入れると選局文字盤に淡くバックライトが点灯し、チューニングが合うとアナログのメーターが振れ、ステレオインジケーターが光るなんて、ちょっと懐かしいですね。

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