リップルフィルターのはなし
リップルフィルターとは
[Ripple Filter]で広義には直流電圧にのった交流成分をフィルタリングすることで、古くは真空管のプレート電圧を作るのに、トランスで昇圧した交流を整流してできた脈流をコンデンサーとチョークトランス(コアに巻いた低周波用コイル)で構成したリップルフィルタを使っていました。ここではトランジスタを使ったフィルター回路を説明します。
ハード的には
最近は高性能な定電圧ICが利用されていますが、微小な信号を扱うものの電源に使うと、思いの外雑音が多いときがあります。特にVCOなど位相ノイズが100dB/Hz程度必要なものでは、定電圧ICで安定化した後に、リップルフィルターを入れて電源の低雑音化を図ります。上図(CQ出版社 PLL回路の設計と応用より)で示されるように一般的な3端子の電源ICは内部に高ゲインのアンプを持っていることと、IC内の抵抗や素子の熱雑音を増幅してほぼフラットな周波数特性をもった雑音を発生しています。 対するリップルフィルターはCRを通してベース電圧をフィルタリングしているだけのため、電流に対するドロップはしますが、VCOの様に消費電流が変わらない負荷に対しては、雑音を低減する効果があります。図で 60Hz/120Hz付近のピークは商用交流電源からの誘導ハム(雑音)と考えられます。
図のベース<->GND間のコンデンサーに並列に抵抗を繋ぐことによって、入力電圧を分圧して出力する事も可能です。VCOに対してコントロール電圧は 1〜15V程度必要だが、VCOの電源電圧は5V必要なんて場合は結構ありますので、覚えておくと便利です。
ただ、入出力の電位差を多くとるとトランジスタでの損失電力が大きくなり、余り電流が流せなくなりますので、注意が必要です。
ソフト的には
リップルフィルターなどで、大容量のコンデンサーを多く使うと信頼性の点でやや不安になります。高温になって劣化しやすい、低温になったら位相ノイズが増えてきたなんて場合があります。電解コンデンサーの特性をよく考慮して使いましょう。最近は大容量のセラミックコンデンサーやOSコンなど特性のよい電解コンデンサーも出てきているので電源のノイズ対策は豊富になってきましたが、コスト面など簡単な回路ですむ方法を追求したいものです。
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