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2010年4月19日 (月)

MOS-FETのはなし

MOS-FETとは
[Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor]金属酸化膜でゲート絶縁された電界効果型トランジスタです。ゲートが絶縁されているので電圧だけで制御され、パワーMOSFETでは高耐圧・高速なスイッチングが可能です。
ハード的には
どうしてMOS-FETは通常のバイポーラトランジスタより高速なのでしょうか?バイポーラトランジスタはベース電流によってコレクタ電流を制御しますが、NPNトランジスタを例にとるとベースに+電圧をかけると正孔(小数キャリア)が生成され、エミッタからの電子が引きつけられコレクタに到達します。ここで、ベース電圧を切ってもベース内には正孔がしばらく留まるため、コレクタのOFFが遅れます。そのため、ベース直列抵抗にコンデンサを並列にしたスピードアップコンデンサとよばれる手法で、OFF時にベースの正孔を逆電圧で早く消そうとするものです。
 MOS-FETにはこのような正孔の作用がなく、純粋に電子の流れる領域を狭める事によってON/OFFしているので、バイポーラトランジスタに比べOFF時のスピードが速いのが特徴です。

 トランジスタ技術紙での資料ではPh1to2

立ち下がり時間tf
 パワーMOSFET 2SK2614:170ns
 パワー・トランジスタ2SC3345:241ns
オフ遅延時間tOFF(=td(OFF)+tf)
 パワーMOSFET 2SK2614:355ns
 パワー・トランジスタ2SC3345:667ns
とOFF時の波形比較でONのままの時間にかなりの差があるのが判ります。

しかしながら、ゲートとソースには絶縁層を挟んだコンデンサーとして信号を遅らせる効果が生じるので、スピードを上げるにはゲートへは低インピーダンスの駆動が必要です。具体的にはゲート・ソースにコンデンサに溜まった電化を早く消失させるよう低い抵抗値の抵抗をつけることが必要です。
ソフト的には
スイッチングで立ち上がり・立ち下がりとも出力電流や速度が要求される場合は、出力に電源側にP-CH・GND側にN-CHのFETを使ったコンプリメンタリプッシュプル回路が使われます。このときコントロールのしかたで切り替え時の消費電力が変わりますので注意します。効率を上げるにはデッドタイムといって両方OFFになるよう制御します。負荷が重くスピードを上げたい場合は片方がOFFにならないうちに反対側をONして切り替えスピードを上げますが、重なる時間が長いほど消費電力が増えるのでトランジスタの安全領域を考慮して決めましょう。

参考図書------------------------------------------------------------------


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