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2010年4月 8日 (木)

HEMTのはなし

HEMTとは
[High Electron Mobility Transistor](高電子移動度トランジスタ)の略で、化合物半導体材料を利用した電界効果型トランジスタ(FET)です。詳しい説明は富士通研究所の記事が図のような説明があり、判りやすいです。Hemt High Electron Mobility というように、不純物のない層に電子ガスを発生させてそこで高速に電流を流すしくみなので、通常のFETのように不純物の入った半導体中を進むよりも高速に移動させる事が出来るので、高周波まで使えるようになりました。
私達の身近では衛星放送のアンテナの電波を受けるアンプにGaAs(ガリウムヒ素)HEMTが使われていますが、量産化され10GHz以上の信号の増幅が可能なアンプが今では大変安価に使用できます。もちろん携帯電話や無線LANなど多くの機器に利用されています。
ハード的には
現在は単体のHEMTとして使われるよりも周辺部品も集積したMMIC(Monolithic Microwave IC)としての利用が多く、単体ではマイナス電源が必要なものが多いですが、MMICにして単電源( 3.3V〜9V)程度で使用できるアンプのICも多くのメーカーから販売されています。
 通常ゲート(入力)には高周波で使うため静電破壊防止のダイオード等がはいっていないため、静電気に弱く、冬場など静電気でゲート絶縁が破壊されたりして壊れますので、扱いは注意が必要です。
ソフト的には
ゲート電源にマイナスが必要な LNA用やパワー用のHEMTは、ゲート電圧をかけないとドレインがショート状態になり大電流が流れ、熱破壊する場合があります。電源がシーケンスでON/OFFするような場合にはまずゲート電圧がかかっているのを確認してからドレイン電圧をかけるように制御します。
 その場合に、ドレイン電流が規定値に合わせるようゲート電圧を制御している時は、まずドレインに少なめに流す電圧にしておき、ドレイン電圧をかけて電流が流れ出した後に、規定値になるドレイン電圧に修正するような工夫が必要です。電流値が少ないLNAなどの場合はドレイン電源に保護用の数Ωの抵抗を直列にいれておくのも電流チェックのために便利です。

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