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2010年4月24日 (土)

ECLのはなし

ECLとは
[Emitter-coupled logic]で、TTLよりも高速動作を実現したデジタルICです。
トランジスタをスイッチング領域(OFF/飽和)で使うのでなく、常に電流をある程度流している状態で使うので高速ですが、消費電流が多くスイッチングする電圧や電源電圧(マイナス電源で駆動)などの違いで使いにくく、現在では一般的には使われていない。
ハード的には
Ecl
図のように入力段はエミッタ共通の差動増幅回路となっており、入力側に並列にトランジスタが接続されている。そのコレクタ出力をエミッタフォロアでバッファーして2つの差動出力として出している。
ICパッケージにはこの作動増幅器の閾値(入力の中間電圧)となる基準電圧が出力される端子が出ているのが多い。動作的には数nSでスイッチングが出来、1GHz程度の信号を処理できる。
 最大の問題が、通常IC周辺とのインターフェイスである。電源が−5Vを必要とするに加え、閾値が-1.2V程度とこれもマイナスの信号である。最近はOnSemiconductor社などが生産しているが、MC100ELシリーズなど PECLモードと称して、Vee = GND ,Vcc=+5Vとして使えるモードを持っている。実際周辺と繋げる場合は ViH(入力High電圧)が4V以上ViL(入力Low電圧)が3.3V以下と閾値として 3.8V程度と使うのには注意が必要である。カウンタなどは上記にもあるが、閾値電圧の端子Vbbが出ているもののあり、この電圧で入力端子をバイアスして、信号はコンデンサでカップリングするなどの用途に使える。
 過去ECLの高速性を利用して衛星放送チューナの映像検波に使用したことがあります。当時チューナー出力は 70MHz付近のビデオがFM変調されたIF出力で、それをECLで増幅し遅延回路で一定幅パルスを生成して、そのパルスの平均値を積分してベースバンド信号( 50Hz〜15MHz)に復調していました。他のコイル等を使った復調回路よりも直線性・広帯域特性に優れていました。
ソフト的には
現在ではロジック回路に使う用途はあまりありません。PLL分周とかクロックの分配などハード関連が多いでしょう。


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