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2010年4月30日 (金)

BIASコントローラーのはなし

BIASコントローラーとは
MAXIMのICで、温度センサとEEPROMを持ち、2つの電子ボリュームによってLDMOSなどのRFパワーアンプデバイスのゲート電圧をコントロールし、温度によるドレイン電流の安定化や過電流に対する保護などを目的にしたICです。
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ハード的には
上の図は MAXIM の DS1870というタイプのコントローラです。内部にボリュームが2つあり、外部のデバイスのゲート電圧をコントロールしているのが判ります。
その他に1つの電圧入力(主にドレイン電圧の監視)と2つの電流検出端子(電流を電圧に変換するICを使って入力します)があり、ともに規定値を超えるとアラームを出すことも出来ます。
 また、電流検出端子に入る電圧によって、ボリュームの出力に対してテーブルを使ってオフセットをかけることができますので、電流が増えすぎた場合にバイアス電圧を調整して電流の増加を減らす働きもします。 2つのボリュームはEEPROMのテーブルを持ち、内蔵温度センサの値をアドレスにして-50℃から+100℃程度までの温度補償テーブルを書き込むことが出来ます。
 小型で大変便利なICですが、コントロールにI2Cを使うため直接パソコンから書き込むには変換治具が必要で、かつ書き込むアドレスが多くテーブルがバンク構造になっているなど、なんらかの書き込み支援アプリが必要です。私の場合H8を使った RS232C <-> I2C 変換モジュールを作り、PC側はボーランドC++ で書き込み支援ソフトを作りました。
ソフト的には
このページで書ききれないほど注意点がありますが、BANK1のコントロールレジスタはパスワード用のレジスタがあるので、安易に書き間違えるとロックがかかり書き込めなくなってしまいます。
このときは書き込んだパスワードエリアの値を、パスワード書き込みレジスタに連続して書き込み、ロックを外した後、パスワードレジスタを 0xFF に書き込んで保存します。
 保存するタイミングも、書き込み可能にするレジスタをきちんと元に戻してから電源を切らないと保存されなかったりするので、注意が必要です。
 温度テーブルに書き込むのは実際に動作させて温度を変化させながら行いますが、内部の温度センサの値をチェックして熱的に平衡になった時に行うのがベストです。温度テーブル自体は2℃ステップで使用しましたが、調整時は10℃ぐらいで測定し、書き込みは間を補完しても良いでしょう。調整がクリティカルなときは周辺2℃は実際に測定した方が良いかも知れません。
 このICはバイアス用途だけでなくとも例えば温度によってアナログアッテネーターをコントロールすれば温度によるレベル差などを調整することも出来ます。


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